① 痔とは?
痔とはどのような病気ですか?
痔とは「肛門の病気の総称」です。3つの大きな病気として、「痔核(いぼ痔)」と「裂肛(きれ痔)」と「痔瘻」があります。
一番多いのは「痔核」で男女とも患者さんの半数を占めます。
② 痔核(いぼ痔)について
痔とはどのような病気ですか?
「痔核」とはいわゆるいぼ痔、脱肛のことです。
男性、女性とも最も患者さんが多いです。
出っ張ることから「出痔」とも言われます。
痔核の症状は、いぼ痔の脱出と出血です。
初期は出血のみで、鮮血が紙についたりポタポタ落ちたりします。
脱出があっても自然にもどります(内痔核Ⅰ~Ⅱ度)。
症状が進むと排便のたびにイボが出っ張って自然にはもどらず自分で押し戻すようになります(内痔核Ⅲ度)。
ざくろのように肛門全体が裏返っている場合は痔核の最終段階まで進行しています(内痔核Ⅳ度)。
押しもどすのに時間がかかったり、歩いたりしゃがむと痔が脱出して日常生活に差し支えたり、便器が真っ赤になるなど出血が多くて貧血症状(動悸、息切れ、疲れやすい、顔色が悪いなど)があるようでしたらいぼ痔の症状は進んでいます。
病院での治療が必要です。
いぼ痔に何らかの原因で血栓(血豆)が多数出来て腫れて戻らなくなることがあり、これを嵌頓痔核といい激しく痛みます。
この場合はすぐ病院を受診してください。
患部を温め安静にし痔の薬を使うことで症状が和らぎます。
いぼ痔で切らなくても注射で治す新しい方法ができたそうですが?
アルタ療法という内痔核硬化療法です。
H23年、NHKテレビの「ためしてがってん」と「あさいち」で放送され反響を呼びました。
アルタ療法とは、硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸(ALTA)の略で、この治療法は、メスで内痔核を切ることなく、ALTAという「痔を固める注射」を痔核内に投与することで痔核を小さくし、脱出と出血症状を改善します。
注射をする時の痛みや、あとも痛みがほとんどないので、高齢の方で手術はちょっとという方や、痔の手術の際にALTA を併用してより体に負担の少ない手術にしたり、再発を防ぐ効果もあります。
治療にあたっては特殊な投与技術(四段階注射法)が必要なため、決められた手技の講習会を受講した専門医でなければ治療を行えません。
治療を行っている施設は内痔核治療法研究会のwebサイトをご覧ください
内痔核治療法研究会 http://www.zinjection.net/
③ 裂肛(きれ痔)について
裂肛とはどんな病気ですか?
裂肛はいわゆる、きれ痔のことで、肛門を閉めている部分(肛門管といいます)に硬い便の通過や下痢便が勢いよく出ることにより裂けた創ができて、便をした時と、した後に痛みがあります。出血も少しあります。
きれ痔を繰り返しているとだんだん肛門が狭くなり(肛門狭窄)、さらに便が出しづらくなり、無理に排便するとさらに痛むという悪循環になり、この痛みはつらいです。
まず、痔の軟膏、坐薬、飲み薬、軟便剤で便を軟らかくして様子をみますが、治りづらい方は手術することもあります。
小さい子にもときどきありますがお子さんの裂肛はじきに治ります。
④ 痔瘻(じろう)について
痔瘻と言われました。どんな病気ですか?
痔瘻とは肛門の横にうみの出る穴が開く病気です。
ふつうのおできではうみが出れば治りますが、痔瘻は根っこがあるので治らず、一旦ふさがる、また腫れてうみが出る症状を繰り返します。
治すためには手術が必要なことが多いです。
[詳しい説明:肛門の縁から2㎝くらい奥の直腸と肛門の境界線(歯状線)には肛門小窩という小さいくぼみがあって、下痢をしたような時にこのくぼみに便が入り込んで化膿が始まります。
これを肛門周囲膿瘍といいます。
これはうみが筋肉のすき間に溜まって外に出ませんから排便と関係なくとても痛み熱も出ます。
病院で切ってうみを出してもらう(切開排膿)か、自然に穴が開いてうみが出ると痛みは急に楽になり、熱も下がります。
うみが出ても肛門の外の穴と、肛門小窩(この場合、痔瘻が始まった穴であることから原発口といいます)の間がうみの管としてつながります。
この状態が最初に述べたじろう痔瘻です。
いつまたそのくぼみ(肛門小窩=原発口)に便が入って来てうむかわかりません。
原発口を取り除く手術が必要なわけです。)]
痔瘻は一般に下痢気味の男性に多いです。
お酒を飲んで下痢をした後に発症するケースは多いです。
しかし、必ずしも下痢気味の方ばかりではありません。便秘気味の方に起こることもあります。
痔瘻は女性にはあまり多くはありませんが、時に裂肛(きれ痔)が原因の痔瘻は見られます。